アグナ's ワークショップ

自作PCを生きがいにする少年

GTX 900のサポート終了!? 旧製品の寿命を考察

強制される製品寿命-ドライバサポートの終了

 性能的に満足している、ゲームを引退した、金銭的な余裕がない等、旧世代のGPUから中々アップグレードをしない人たちが抱える事情は様々です。もちろん旧製品を使い続けることは悪いことではなく、むしろ産業廃棄物が減るなどのメリットも存在します。しかし、外的な要因からアップグレードを余儀なくされるケースもあり、その代表例がドライバサポート*1の打ち切りです。メーカーによるソフトウェアサポートの終了は最新のアプリへの対応が困難になることを公的に認める行為であり、何らかの理由でアップグレードできずに足踏みしているユーザーにとっては悪夢のようなイベントとなります。現在でもGTX 1080のような旧世代のハイエンドGPUは実用的な性能を有しており、長期的な運用を見込んでいるユーザーも多いでしょう。そこで今回は現役のGeForce製品に残された寿命を予想していきます。

旧製品のサポート状況

 ここで過去のGeForce製品の発売タイミングとサポートの終了時期を確認します。

 一部例外もありますが、傾向としてはどの世代のGPUも発売後8~10年で公式ドライバの配信が終了していることがわかります。この年数を長いとみるか短いとみるかは自由ですが、ほとんどのGPUは7,8年で性能的な限界が訪れ、機械寿命も短くなってくることを考慮すると、公式のサポート期間としては妥当です。

現役製品のサポート終了時期

 今後も上述の傾向が続くと仮定すると、現段階で現役のGPUも発売から10年までのタイミングでサポートが終了することになります。したがって、現在現役の旧世代GPUの予想されるサポート打ち切りタイミングは以下の通りです。

 やはりGTX 900/1000シリーズはライフサイクルの後半にあるだけあって、期待できる現役期間は短いです。せっかくGPUを更新するのであれば、可能な限り長く使いたいものであり、長く使い続けられるGPUを購入したいのであれば性能、期待寿命も含め、RTX 2000シリーズ以降の製品を選択するべきです。

まとめ

 ここまで、ドライバサポートの終了=現役期間の終了のようにお話してきましたが、それはあくまで最新のゲームやソフトウェアへの対応力に注目したものであり、ドライバサポートが打ち切られることでGPUが使用不可能になることを表しているわけではありません。PCの使用用途が限定的であったり、最新技術を利用したアプリの使用を予定していないのであれば、今お使いのGPUもサポート終了後も問題なく利用可能です。逆に、最新タイトルを追いたいゲーマーはGPUの更新を強制されるタイミングとも言えます。経済的なPC更新のサイクルを確立したい方はぜひ、ハード、ソフト両面の期待寿命を考慮しながら計画を立ててみてください。

 

 

 

*1:本記事ではGame Ready Driverの配信を指す

2022年前期版 ゲーム用GPU性能比較

GPU選びは大変‼

パソコンでゲームをプレイするのに必須となるGPU(グラフィックボード)は毎年新型が発表され続けており、それらの情報を追うだけでも一苦労だ。さらに用途や予算によっては旧世代のGPUも選択肢に入ってくるため、旧製品から最新製品までの性能を把握するのはますます難しくなってくる。特に新製品を入手しにくいご時世なため、旧製品に注目するユーザーも増加しており、その性能把握の問題はより一般化している。そこで今回は過去10年間ほどの期間に発売された一般ユーザー向けの”ゲーム用”GPUの位置づけをGeForceRadeonともに早見表に収め、一目で性能の関係が読み取れるようなシステムを製作した。

GPU性能階級表

早速だが、今回製作したGPUの性能の階級表を披露する。以下の表の左半分がGeForceGPUNvidia)、右半分がRadeonGPUAMD)となっている。なお、理論性能ではなく、最近のゲームにおけるパフォーマンスを基準に階級分けを行っているため、発売当初の位置づけとは若干異なる製品も一部存在する。(例:GTX 950は発売当時GTX 760程度とされていたが、最適化などが影響し、近年はGTX 770に並ぶGPUとなっている)

f:id:AggressiveNerd:20220218180817p:plain

製作:2022年2月16日

表解説

上記の表は独自のシステムで製作しているため表記の意味を解説する。

配色

階級表の最上列は発表されたGPUのシリーズ、またはアーキテクチャ(基本設計)ごとに、これから購入する人に向けたオススメ度を示している。

 

灰色で示されたシリーズは最新か最新に近い製品群であり、購入にあたって特に懸念がないことを意味する。

緑色で示されたシリーズは最新ではないものの、メーカーサポートが継続しており、性能的にも現代で通用する製品群だ。これから購入する場合は中古となるが、状態と動作の確認が行えれば特に問題はない。

橙色で示されたシリーズは一部メーカーサポートが終了しており、経年劣化に不安が残るものの、用途によっては現役な性能を有する製品群だ。橙色以降のシリーズのGPUでは最新のゲームは起動しない可能性があるため、互換性のチェックは必須だ。

赤色で示されたシリーズはメーカーサポートが完全に終了しており、性能的にもモダンな環境では不足している製品群だ。特別な理由がない限り、これから購入する必然性は全く無いと言える。

階級分け

左端のアルファベットは各GPUの階級を表している。これはあくまで相対的な評価であり、用途に合わせてグループ分けを行った。

 

SSS - 最新のゲームを4K以上で高画質、高フレームレートでプレイしたい人向け。平均的なユーザーが購入するにはコストパフォーマンスが低い。

SS - 最新のゲームを1440p以上で高画質、高フレームレートでプレイしたい人向け。数年先のAAAタイトルまでカバー可能である。

S - 最新のゲームを1080p以上で高画質、高フレームレートでプレイしたい人向け。このグレード以上のGPUが一般にハイクラスに分類される。

A - 最新のゲームを1080pで高画質、高フレームレートでプレイしたい人向け。これからゲーミングPCを購入する人で、ゲーミングモニターを利用したい人は要検討だ。

B - 最新のゲームを1080pで高画質、または高フレームレートでプレイしたい人向け。ハードウェアエンコーダーを利用した配信を行う場合はほぼ下限となるグレードだ。

C - 最新のゲームを1080pでプレイしたい人向け。このグレード以上のGPUでなければ新作のAAAタイトルを快適にプレイすることが難しくなってくる。

D - 最新のゲームを低解像度でプレイ、または過去作をメインにプレイしたい人向け。軽量なeSportsタイトルであれば現役な性能を持つ。

E - 過去作をメインにプレイしたい人向け。過去5年以内に発売されたゲームをプレイしたい場合は性能が十分であるか慎重に見極める必要がある。

- 低負荷な過去作をメイトにプレイしたい人向け。過去7年以内に発売されたゲームをプレイしたい場合は性能が十分であるか慎重に見極める必要がある。

最後に

今回はGPUの性能関係を勉強中の方々に向けて比較表を製作したがいかがだったろうか。便宜上ゲームパフォーマンスの安定しないOEM向け(GTX 745等)、非ゲーム向け(GT 710等)、デュアルグラフィックスカード(GTX 690等)は省略して表を製作したが、過去10年ほどの主流なGPUの位置関係はおおよそ把握していただけただろう。近日中に階級をリンクさせたCPU版の階級表を公開する予定だ。また、GPUも新製品の発表に合わせ、情報は随時更新していく。intelGPU市場参戦も発表されているため、今後の展開に期待は高まるばかりである。

【自作PC】中古CPUって買っても大丈夫??

f:id:AggressiveNerd:20211216220819p:plain

 

なぜ中古を選ぶのか

多くの人にとってパソコンは大きな買い物となる。オフィス作業、ネットサーフィン程度の用途でも軒並み5万円以上で、ガッツリゲームが遊べるPCを購入しようとすると10万円はくだらない。学生や予算の少ない人はどこにお金をかけてどこを妥協するのかというのが悩ましいところだ。そんな時に魅力的なのはやはり中古PC・PCパーツの存在。場合によっては現行のPCと大差ない性能で何万円も節約することが可能だ。しかし、精密機器である以上、中古で購入することに抵抗がある人も多いはずだ。中古でPCを入手する際には注意するべき点が多くあるが、今回はその中でもCPUに限定して解説していく。そのため、今回の記事はこれからPCを自作する人、またはCPUのアップグレードを検討している人に向けたものとなる。

中古CPUはアリ?ナシ?

結論から言ってしまうとCPUを中古で購入するのはアリだ。過去に50を超える中古CPUを購入してきた経験から中古CPUを購入する際のメリット、デメリットに言及していく。筆者が現在使用しているPCも実は中古のCPUを採用している。使用しているのはcore i7 9700KFで、新品価格が3万円半ばだった時期に2万円後半で購入でき、性能的にも品質的にも非常に満足している。これから中古CPUの購入を検討する人は以下の点に気を付けるとより満足のいく買い物ができるだろう。

 

f:id:AggressiveNerd:20211216213821p:plain

筆者が利用しているi7 9700KFは5.2GHzにオーバークロックして常用しているが、なんの問題もなく動作している



中古CPUの特徴

故障率が低い

CPUはPCパーツの中でもダントツで耐久性が高いパーツだ。年代物のPCでもCPUだけは健康なことが多い。また、長期間オーバークロックし続けたCPUでも満足に動作してくれることは珍しくない。CPUの耐久性が高いのには稼働部品がない、大きなコンデンサなどを搭載していない、安全装置が優秀であるなどいくつか理由が考えられるが、とにかく相当古い製品でもない限り、経年劣化の心配をする必要はほとんどないと言える。もちろん故障の可能性は0とは言えないが、PCパーツの中では中古のリスクはかなり低いパーツである。そのため、他のパーツと比べると安心して中古品が購入できるだろう。

保証がない・短い

CPUに限らず、中古で何かを購入するときは保証に多少の妥協は必要だ。中古パーツに独自の保証を付けてくれるPCショップや、フリマにも購入時のレシートなどを同梱して保証が受けられる状態で発送してくれる出品者は存在する。しかし、新品購入時と同等の保証が受けられることはほとんどない。安く購入できる分、故障時のリスクは少なからず上昇していると考えるべきである。とはいうものの、上記のようにCPUの故障は稀なのであまり決定的な欠点だとは言い難い。保証の内容にどうしても不安を覚えてしまう人は素直に新品を購入するしかない。

コスパが高い

中古CPUは新品のCPUよりも安く買える分、価格対性能は高くなる。最新のCPUでも数千円の節約になり得る。この数千円の違いを大きいととらえるか小さいととらえるかは人それぞれだが、浮いたお金をメモリやSSDなどの予算に回して快適さを向上することができると考えると十分ではないだろうか。また、中古CPUでも旧世代のものであれば周辺パーツでも節約することができるため、新品の同等性能品と比較して大幅にコストを削減可能だ。

中古CPU購入時に気を付けること

動作確認は絶対

CPUは故障率が低いとは言ったが、絶対に壊れないとは限らない。前所有者がどのように取り扱っていたかわからない以上、しっかりと検証を行って正常な動作を確認するまでは安心できない。CPUを通電することができる環境があるならばベンチマークソフトやゲームを走らせることを推奨する。途中でフリーズしたりするようであればCPUにダメージが入っている可能性がある。

偽物に注意

CPUはチップが存在するメインの基盤とヒートスプレッダという金属部分が分離する構造となっている。普通ヒートスプレッダに型番の刻印がされており、ここで製品を見分けることができるようになっているが、全く関係のないCPUのヒートスプレッダに交換することで低性能なCPUをハイエンド製品として売る詐欺が稀に見られる。ヤフオクなどに多く、見た目では判断できないが、BIOSフリーソフトを利用してCPUの詳細情報を確認すると一発で見分けがつく。もし購入したものと違う製品が表示されていれば即返品しよう。

f:id:AggressiveNerd:20211216215800j:plain

メインの基盤部分(緑)と放熱と保護の役割を持つヒートスプレッダ(銀)は分離可能だ
画像はi3 2100の中古品

ジャンク品は購入しない

中古品よりもさらに安く購入できるジャンクパーツだが、PC初心者には全くお勧めしない。ジャンク品とは基本的に何らかの理由で完全な動作を保証できないパーツで、もちろん返品もできないケースがほとんどだ。ハズレを引くとお金を失うことになるため、価格だけに惹かれて購入してはいけない。

f:id:AggressiveNerd:20211216214600p:plain

CPUの詳細を確認できるソフト「CPU-Z」はお勧めだ
CPU-Zのダウンロードリンク↓

https://www.cpuid.com/softwares/cpu-z.html

まとめ

ここまで中古CPU購入のメリット、デメリットを解説してきたがいかがだっただろうか。CPUに関しては消耗品ではない分、中古品を選択することで比較的低リスクでコストを削減することが可能だ。予算が少ない場合は上手く中古パーツを取り入れたPCに仕上げるのも有力な手である。